TAKE IT TO THE GRAVE

一体どんな顔をして会えばいいのか。
そういえばこうやって普通に会うのは殆んどなくて、思い出してみれば初めて会った時と他数回くらいしか思いつかない。
そんなことを今になって思い出してみれば今まで一体何をやっていたのか。目的はそうじゃなかったと頭の方は思っているけれど。体の方はそうは動いてなかったと認識させられててどうしようもない気持ちになる。
体温を感じただけで全てをわかったような気になるあの魔物は恐ろしい。それを無くした時に本当に残るものはあるか。まだ繋がっていられる理由はあるか。結局肉体だけでは繋がってはいられない。物理的な距離と比例するような気持ちになどにはなんの価値もない。
今までの事はなくなるわけじゃないけれど、指を見てもそれをまだ保っていられるのかは自信がない。お互いの世界はもう違うというバリア的な恐ろしい物に見えてしまう気がして。
一年近く会っていなくても会った時に久しぶりと感じなかったのはそれは頭にあったからなのか、それとも会わない期間が空白過ぎて時を早く感じさせたからなのかなんなのか。
時間は流れて大体のものは変わって終わって始まるけれど、それでもそれに抗って残して続けたい物はなかなかあるものじゃない。そんな一見不可能に思えるような強い意志が肉体からくるわけがないと信じたい。
それでも触れれば安心してしまう気持ちはどこから来るのか。手の温度にあれほど安心させられたことは今までない。そして今は結局それを頼りにしてしまう。